クリニック地球33番地は消化器病学会専門医・日本肝臓病学会認定肝臓専門医が診療しています。内科・消化器疾患(肝臓病、胃腸疾患など)でお困りの方のご相談をお受けいたしております。

トップページ
院長あいさつ
クリニックご紹介
治療案内
アクセス方法
質問と回答
「内科」「消化器科」「人間ドック」

クリニック地球33番地
〒780-0056
高知市北本町4丁目4-61
TEL.088-880-0733
FAX.088-861-0733

院長コラム

院長からのコラムのご紹介です。医療・症例に関する情報を掲載してまいります。
高知新聞(夕刊)・ あしすと健康アドバイスに連載された記事です)

1234

肝がんのラジオ波焼却療法

肝がんの多くは、肝硬変や慢性肝炎の肝臓に発生するため、傷害された肝臓の機能を温存しながら、がんを治療する必要があります。ラジオ波焼却療法(RFA)は、肝がんに対する内科的な局所療法です。同法は外科的肝切除術と比べて体への負担が少ないのが特徴で、ある程度、肝機能が低下していても行うことができます。RFAは、通常、エコー画像を見ながら電極針を肝がん中心部に刺し込み、電極から出るラジオ波によりがん組織を焼却し、壊死させる治療法です。一回の焼却で直径2-4cmの範囲が壊死しますので、がんの径が3cm程度の単発肝がんであれば、一回で完全に治療できます。治療が適応されるのは、がんの径が3cm以内で3個以下とされていますが、単発であれば径が4-5cmでも治療可能です。副作用として、治療中の疼痛、治療後の発熱のほか、腹腔内出血、肝梗塞、肝膿瘍などをみることもありますが、適切にRFAを行えば、外科的肝切除術に匹敵する治療成績が得られます。


非アルコール性脂肪肝炎(NASH)

脂肪肝は、肝細胞に脂肪滴が沈着し肝障害を起こす病気で、原因は過度の飲酒、生活習慣病(肥満、高脂血症、糖尿病、高血圧)、高度の栄養障害など多岐にわたります。過度の飲酒はアルコール性脂肪肝から最終的には肝硬変へ進むことが知られています。一方、飲酒と無関係におこる脂肪肝を非アルコール性脂肪肝といいますが、飽食の現代、肥満や糖尿病などに関連しておこる脂肪肝は非常に多く、人間ドックでは20~30%の人に認められます。以前は、肝硬変や肝癌の原因とはならない予後のよい疾患と考えられていましたが、近年、その一部では肝臓の線維化が進み、肝硬変や肝癌の発生が見られることが分ってきました。このような、飲酒や肝炎ウイルスなどの肝障害を起こす原因がないのに、脂肪肝に線維化を伴った場合を、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と呼び、生活習慣病の一つとして注目されています。健診などで脂肪肝を指摘された場合、放置せず主治医に相談することをお勧めします。


原発性胆汁性肝硬変

肝臓は体から出る老廃物などを代謝・無毒化し、胆汁として排泄しています。胆汁は胆管という、いわば肝臓の下水道を通って、十二指腸に注ぎ込み体外に出ます。この胆管の上流部が破壊されて、胆管がつぶれ胆汁の流れにうっ滞が生じる病気を原発性胆汁性肝硬変と呼びます。原因は自己のリンパ球が自己の胆管を攻撃する自己免疫と言われていますが詳細は不明です。昔は原因不明の肝硬変として見つかる場合が多く、病名に肝硬変の名が付いていますが、診断法の進歩により最近ではより早期に発見されます。皮膚の痒みや黄疸などの自覚症状で見つかる例や、人間ドックなどでたまたま肝機能異常(ALP・γGTPの異常高値)を指摘され見つかる場合などがあります。中年以降の女性に多くみられる稀な病気で、特効薬はありませんが、病気の進行を抑える薬(ウルソなど)が有効です。知らずにそのまま放置すると徐々に肝硬変にまで進みますので注意が必要です。


肝臓病と運動

病気を抱える患者さんには、安静が指示されることが一般的です。肝臓病でも同様で、以前は、安静の重要性が過度に強調された時代がありました。しかし、慢性肝炎や肝硬変などの肝臓病は長期間あるいは一生にわたってつき合う疾患であるため、長期に及ぶ安静は人体の健康にはむしろ悪影響を及し、QOL(生活の質)を低下させます。筋肉は糖代謝やアンモニア代謝などで肝臓を補う作用があり、長期間の過度な安静は望ましくありません。運動としては、過剰の運動になりにくく、継続して行える歩行が最適です。最大運動強度の50-60%までの有酸素運動で30分間が基本です。普通に会話ができるが歌える程でなく、やや息がはずみ小汗をかく程度です。できるだけ毎日、長期に継続することが肝心ですが、体調不良のときは休むことも必要です。慢性肝炎から初期の肝硬変までは問題はありませんが、肝炎の増悪期(GOT・GPTが200以上)、黄疸・腹水・肝性脳症や未治療の食道静脈瘤があるときの運動は薦められません。


肝臓病と食事

肝臓は体の中で最も再生力のある臓器として知られていますが、障害を受けた肝臓の再生や機能の維持に必要な、良質の蛋白質やビタミンの十分な補給は、その回復を助けます。(1)慢性肝炎では、通常、正常人と同じ食事内容で十分です。バランスのとれた一日三食を規則正しく適量摂取することが大切です。高蛋白、高カロリー食は逆に肥満、脂肪肝を招くもととなり、肝炎の増悪をきたす恐れがあります。また、肝臓に過剰な鉄蓄積のある例(フェリチン高値)では鉄制限食が必要です。特にC型慢性肝炎例では、その1/3が鉄過剰状態にあるとされ、鉄分の多い食事は要注意です。(2)肝硬変では血中アンモニアが高いとき、蛋白質は普通の人の1/2〜1/3まで制限が必要です。また食物繊維を多くとり便通を良くすることも大切です。腹水がある場合は塩分(1日3-7g)と水を制限する必要があります。進行した肝硬変では、なまものは、極力避けてください。なを、アルコールは厳禁です。


胸やけ:胃食道逆流症 (食後の胸やけ)

C型慢性肝炎や一部の脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝炎)の患者さんにおいて、鉄の肝毒性が問題となっています。体内貯蔵鉄を反映するフェリチン値や肝組織中の鉄量の検討で、C型慢性肝炎の多くが鉄過剰の状態にあるとされています。C型慢性肝炎では、消化管からの鉄吸収の増加、吸収された鉄の肝への取り込みの増加があります。さらに、C型肝炎ウイルスを感染させたチンパンジーに鉄含有ビスケットを食べさせると鉄が急速に肝に沈着し、肝炎が悪化するとの報告があります。これは、鉄の触媒作用により肝細胞の中で細胞毒性の非常に強いフリーラジカルが作られる為です。鉄過剰状態の肝臓病の患者さんでは鉄制限食で肝機能が正常化する場合がみられます。鉄含有量の多い食品、例えば豆類、貝類(シジミ、アサリなど)、赤い肉類(レバー、馬肉など)、緑の濃い野菜などは避けることが賢明です。便利な食品群別鉄含有表なども作成されていますので、ご相談下さい。


〈ページの最初に戻る〉 1234