クリニック地球33番地は消化器病学会専門医・日本肝臓病学会認定肝臓専門医が診療しています。内科・消化器疾患(肝臓病、胃腸疾患など)でお困りの方のご相談をお受けいたしております。

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院長コラム

院長からのコラムのご紹介です。医療・症例に関する情報を掲載してまいります。
高知新聞(夕刊)・ あしすと健康アドバイスに連載された記事です)

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メタボリックシンドロームと死の4重奏

◆メタボリックシンドロームの診断基準◆
ウエスト周囲径「男性85cm以上」「女性90cm以上」

※上記に加え以下のうち2項目以上が該当
1)中性脂肪が150mg/dL以上、またはHDLコレステロールが40mg/dL未満。
2)最高血圧が130mmHg以上、または最低血圧が85 mmHg以上。
3)空腹時血糖値が110mg/dL以上

肥満(内臓脂肪蓄積)、高脂血症、高血圧、糖尿病などの生活習慣病は、各々が心血管病の危険因子で、これら四つが揃うと、死の四重奏と以前は呼びました。生活習慣病は、一人の人に次々に集積しやすい傾向があり、各種の検査値(表)の異常が軽度でも心筋梗塞や脳梗塞など致命的動脈硬化を起こす率が急上昇します。最近では、このような状態をメタボリックシンドロームと呼びます。内臓脂肪の蓄積はウエストを測るだけで簡単に推定できます。生活習慣を改善し、ウエスト径を基準以内に収める努力が肝腎です。


食後高血糖

食事をすると糖質がブドウ糖に分解され血液中に入り、体のエネルギー源になります。血糖値は運動で低下し、食事で上昇します。ブドウ糖の利用を効率よく調節し、血糖値を一定の範囲内に保つ働きをしているホルモンが膵臓から分泌されるインスリンです。インスリンの働きが低下し、高血糖が続く状態が2型糖尿病(成人発症型)です。空腹時の血糖値が正常でも、食後2時間の血糖値が200mg/dl以上で、尿糖も陽性という人が多くおられますが、“まだ早期で軽症だから、たいしたことはない”と軽く考えてはいけません。毎回の食事の後、一時的に血糖値が異常に高くなることで、酸化ストレスなどが高まり、血管(血管内皮)が傷つき、動脈硬化がどんどん進んで行きます。心筋梗塞や脳梗塞の危険が高まって行くのです。糖尿病の始まりには自覚症状はありません。食後に尿糖が出た程度、といって放置してはいけません。かかりつけ医に相談してみましょう。


糖尿病

あなたは、ひょっとして糖尿病ではないですか?

◆以下の項目がいくつあてはまりますか?

  • 肥満気味である
  • 高血圧がある
  • 40歳以上である
  • 家族に糖尿病の人がいる
  • あまり運動をしない(30分/日未満)
  • 野菜をあまり食べない
  • 血糖が高いといわれたことがある

日本では、糖尿病の人は740万人もいるといわれていますが、その半数近くの人が検査を受けていないため、全く治療されていない状態にあります。糖尿病を放置しておくと失明(糖尿病はその原因の第一位)、腎不全(糖尿病は透析導入原因の第一位)、脳卒中、心筋梗塞などをおこす可能性が高くなります。何らかの症状が出てから治療しても、すでに手遅れのことがあります。上記の項目がいくつかあてはまる方は、糖尿病の可能性が高いので早急に検査を受け、適切な治療を受けましょう。


早朝高血圧に注意!!

高血圧は、国民の4人に1人が罹患しているとされ、日本の成人において最も頻度の高い疾患です。普通、病院の診察室で計測した血圧(随時血圧)が140/90mmHg以上を高血圧と定義しますが、病院で正常だからといって高血圧がないとは言えません。血圧は絶えず変動していますので、早朝や夜間に血圧が上がっているかもしれません。特に朝は目覚めとともに体が活動を始めるため、血圧が高くなりやすいことがわかっています。そして朝の血圧が高い人(早朝高血圧)ほど、脳卒中を起こす危険性が高くなること(約3倍)が知られています。また、高血圧の薬を飲んでいるからと朝も大丈夫ということはありません。降圧剤を内服中で随時血圧が正常の人の約6割は朝の血圧が高いとの報告があります。早朝高血圧を発見できるのは自分だけです。自動血圧計で毎朝、家庭で血圧を測りましょう。家庭で測る血圧の基準値は135/85mmHgです。基準値以上なら治療が必要です。測定結果をかかりつけの医師に報告してください。


肺炎の予防:肺炎球菌ワクチン

肺炎は多くの場合、カゼやインフルエンザをきっかけに引き起こされます。健康な気管支に細菌が進入しても、気管支粘膜にある線毛などの働きにより細菌は外に排出され、肺炎は起こりません。しかし、カゼなどのウイルスが感染すると粘膜細胞の線毛の働きが障害されます。そこへ細菌が入ってくると菌を外へ排出しにくくなり、細菌が肺の奥へ侵入し肺炎が起こります。毎年8-9万人が肺炎で亡くなっていますが、その殆どが65歳以上の高齢者で、原因菌として肺炎球菌が最も多いとされています。肺炎球菌の感染予防には肺炎球菌ワクチン(肺炎球菌莢膜からの抽出物)が有効で、インフルエンザワクチンとの併用によりさらに効果が上がるとされています。脾臓を摘出した人以外は保険適応外で、自費接種となりますが、65歳以上の高齢者、糖尿病、肺・心臓・腎臓・肝臓に病気がある人など肺炎にかかりやすい人が対象になり、一度接種すると5年以上効果が持続します。


自己免疫性肝炎とは?

肝臓病を引き起こす原因には、肝炎ウイルス、薬物、アルコールなど種々のものがありますが、自己免疫が原因でおこるものを自己免疫性肝炎と呼びます。自己免疫とは難しい言葉ですが、自分の体に普通に存在する成分を自分の白血球(リンパ球)が攻撃するためにおこる病気を自己免疫病とよびます。例えば、関節リウマチも自己免疫病の仲間ですが、自分の関節を自分のリンパ球が攻撃・破壊するためにおこる病気です。自己免疫性肝炎では自分の肝臓を自分のリンパ球が異物と認識して、破壊するために慢性の肝炎がおこります。中年以降の女性に多くみられる稀な病気ですが、知らずにおくと数ヶ月で肝硬変にまで進む場合もあります。日本人の自己免疫性肝炎では免疫抑制剤、特にコルチコステロイドが有効な場合が多く、早期に診断し治療を行えば予後は良好です。診断には肝組織を採取(肝生検)する必要がありますので、肝臓専門医の意見を聞くことをお勧めします。


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