■市民公開講座「C型肝炎 その最新治療を学ぶ」より C型肝炎放っておくと怖い病気!-見つけ方と見つけた後は 肝臓の病気は、肥満による脂肪肝、薬剤性肝障害、アルコール性肝障害、自己免疫による肝疾患などがありますが、今日はウイルス感染が原因となる肝炎がテーマです。肝炎を起こすウイルスにはいろいろ種類がありますが、いま日本で一番問題なのは、C型肝炎ウイルスです。 C型肝炎ウイルスに感染する原因の多くは、以前に大きな手術をして血液製剤を使ったり、輸血をしたりしたことです。いまは輸血の血液にC型肝炎ウイルスが混ざることはありませんが、昔は検査方法がなかったのです。また、これもいまはなくなりましたが、かつて予防接種で注射針の使い回しをしていた時代に感染したと考えられる場合もあります。ほかに、不衛生な状態での鍼(はり)の使用、覚せい剤などの注射の回し打ち、入れ墨などが原因として考えられています。患者数は約200万人いるとされていますが、医療機関で治療を受けている人は50万人に過ぎません。 慢性肝炎自体で死ぬことはありませんが、長い経過の中で肝臓が硬くなっていき(線維化といいます)、肝硬変に進むことが問題です。肝硬変になると、消化管の出血、肝不全、肝がんなどを発症して死に至る危険が高くなります。肝がんの95%は肝炎ウイルスが関係していて、80%はC型肝炎ウイルス陽性であることがわかっています。 感染が続いている場合は、いろいろな検査をして、いまの肝臓の状態を調べます。とくに重要なのはGPT(ALT)と血小板の数です。ALTは肝臓の細胞が炎症を起こして壊れると、血液の中にでてくる酵素で、40以下なら正常です。血小板の数は肝臓の線維化がどれだけ進んでいるかを推測するものです。正確に知るには肝臓に針を刺し組織を採集して調べる肝生検と呼ばれる検査が必要ですが、体に負担の大きい検査なので何度もできません。そこで血小板の数で見当をつけています。肝臓の線維化が進むと血小板の数は減ってきて、15万未満なら要注意です。ALT正常のC型肝炎でも注意が必要です(特に血小板15万未満、ALTが30〜40)。ALTと血小板の数を組み合わせて、インターフェロンによる治療をすべきかどうかのガイドラインがでています。 |